
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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心停止時の鑑別は?・・・6H6T
募集していた「第24回水戸医学生セミナー」ですが、おかけ様で定員に達しましたので、お申し込みを締め切らせていただきました。ご応募いただき有難うございました。この2日間が有意義な時間になるよう準備を進めてまいりますので、セミナーまで少々お待ちください!
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さて、今回は医学生セミナーでも扱う内容の復習です。
ある夜にあなたがERをやっていたところ、救急要請が飛び込んできました。
「50歳台の男性のCPA(心肺停止)症例です。自宅で胸痛を訴えたあとに突然意識を失いました。」
10分かからないうちに救急車は病院に到着しました。救急隊員が車内で点滴ルートを確保してくれて、胸骨圧迫を続けいていますが、まだ自己心拍は再開していません。あなたもERの看護師さんらとともに、手際よく胸骨圧迫を代ったり、薬剤投与を行います。
でも、この時にあなたには、もう一つやらなければいけないことがあります。
それは何でしょう?
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それはCPAの原因を探ることです。なぜCPAに至ったのか、その原因がわからなければ同じことを繰り返してしまい、せっかくROSC(自己心拍再開)しても、その心拍をつなぎ留めておくことができなくなってしまいます。
蘇生と同時に、蘇生する先の「なぜ」を探る必要があります。その鑑別が「6H6T」です(5H5Tと言われることもあります)。
6H6Tとは、
Hypovolemia(循環血液量減少)
Hypoxia(低酸素)
Hydrogen ion(アシドーシス)
Hypo/Hyperkalemia(カリウム異常)
Hypoglycemia(低血糖)
Hypothermia(低体温)
Tamponade(心タンポナーデ)
Toxins(毒)
Tension pneumothorax(緊張性気胸)
Thrombosis coronary(冠動脈疾患)
Thrombosis pulmonary(肺動脈血栓)
Trauma(外傷)
この鑑別を常に頭の中に入れ、心肺蘇生法を行いながら、採血、レントゲン、エコーを隙間を縫いつつ行っていきます。蘇生の先を見据えて行動することで、救命~社会復帰を手繰り寄せることができるのです。
なお、冒頭の症例はROSC後に冠動脈造影を行い、左冠動脈主幹部の閉塞を認めて急性心筋梗塞と診断されました。PCIとECMO+Impella管理で改善し、無事退院して社会復帰できました。
(編集長)
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